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歯がズキズキ痛む原因とは?考えられる症状と治療法を歯科医が徹底解説

歯がズキズキ痛むとき、何が起きているのか

「急に歯が痛み出して、何も手につかない・・・」

そんな経験をされた方は少なくないでしょう。歯のズキズキとした痛みは、日常生活に大きな支障をきたします。仕事や家事に集中できず、夜も眠れないほどの痛みに襲われることもあります。

歯の痛みには、さまざまな原因が考えられます。単なる「むし歯」だけではなく、歯周病や知覚過敏、親知らずの炎症など、痛みの背景にある病態は多岐にわたります。また、歯の痛みが広がると、頭痛や喉の痛みを引き起こすこともあるのです。

この記事では、歯科医師の立場から、歯がズキズキ痛む原因と考えられる症状、そして適切な治療法について詳しく解説していきます。痛みの原因を正しく理解することで、適切な対処法を選択できるようになります。

歯の痛みが生じるメカニズム

歯の痛みを理解するには、まず歯の構造を知る必要があります。

歯の表面は「エナメル質」で覆われています。エナメル質は人体で最も硬い組織ですが、痛みを感じることはありません。その内側には「象牙質」があり、さらに中心部には「歯髄」と呼ばれる神経や血管が通る組織があります。

象牙質には「象牙細管」という細い管が無数に走っており、この管を通じて歯髄と交流しています。象牙質が刺激を受けたり、歯髄に炎症が起きたりすると、痛みを感じるようになります。

また、歯根を包む「歯根膜」という組織も痛みを感じます。歯根の周りが刺激を受けたり炎症が起きたりすると、歯髄と同じような痛みが生じることがあるのです。

痛みの種類と特徴

歯の痛みには、いくつかのパターンがあります。冷たいものや熱いものがしみる「しみる痛み」、何もしなくてもズキズキと脈打つような「自発痛」、噛んだときに感じる「咬合痛」などです。

痛みの種類によって、原因となる病態が異なります。適切な治療を受けるためには、どのような痛みがいつ起こるのかを正確に把握することが大切です。

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歯がズキズキ痛む主な原因

むし歯による痛み

歯の痛みの原因として最も多いのが「むし歯」です。むし歯は、歯の表面に付着した細菌が糖分を栄養にして酸を出し、歯を溶かしていく病気です。

初期のむし歯では痛みを感じませんが、進行して象牙質に達すると、冷たいものや甘いものがしみるようになります。さらに進行して歯髄に近づくと、痛みやしみる症状が強くなってきます。

歯髄に感染した場合は、強い痛みが続くことがあります。この段階になると、夜も眠れないほどのズキズキとした痛みに襲われることも少なくありません。放置すると、歯根の周囲に炎症を起こし、全身に感染が広がる可能性もあります。

歯周病による痛み

歯周病は、歯と歯肉の間から歯周病菌が侵入し、炎症を起こして骨などの歯周組織を破壊してしまう病気です。

歯周病が進行すると、炎症反応が高くなり、膿が溜まって腫れが生じ、強い痛みを感じることがあります。歯周病による炎症が続くと、糖尿病や心筋梗塞、動脈硬化症、肺炎、早産、認知症などの全身疾患にも関係してくることが分かっています。

知覚過敏

むし歯はないのに歯の痛みを感じる場合、知覚過敏が考えられます。

歯肉が下がって歯の根元が露出したり、エナメル質が傷ついて象牙質が露出したりすると、外部からの刺激で痛みを感じやすくなります。むし歯と違い、痛みは持続せず一過性であることが特徴です。

親知らずの問題

親知らずは、正式には「智歯」または「第三大臼歯」と呼ばれる歯で、生える時期は10代後半から20代後半と個人差があります。

正常に生えれば問題ないのですが、斜めに生えたり、水平に埋まっていたり、磨けないほど奥の方に生えたりすることがあります。それが細菌に感染すると、周囲に炎症を起こしたり、むし歯になったりして、歯の痛みや頭痛などのさまざまなトラブルの原因となります。

根尖性歯周炎

根尖性歯周炎とは、歯の根っこの周囲に炎症が起き、膿が溜まった状態を指します。

慢性化すると痛みを感じなくなることも多いですが、突然、何かの拍子で炎症が強くなるケースもあるので注意が必要です。重度のむし歯になると、歯の神経に細菌が感染し、神経が死んでしまいます。その神経が詰まっている「根管」も汚れており、放置すると根の先に病変を作ります。

歯根破折

歯根破折は、歯が割れたり、歯に亀裂が入ったりした状態です。ぶつけたり転んだりした際の外傷や、歯ぎしりが原因として挙げられます。

神経を含む箇所であれば「噛むと痛い」「温度刺激が歯にしみる」といった症状が、神経を含まない箇所であれば「重苦しい鈍痛」「歯ぐきが腫れる」といった症状がみられます。

噛み合わせによる痛み

噛み合わせによって生じる痛みも原因の一つです。歯ぎしりや食いしばりなどによって歯に強い力がかかり続けている場合、歯の周辺組織がダメージを受けて痛みが出るケースがあります。

痛みを和らげる応急処置

歯の痛みはできるだけ早く歯科医院で治療を受ける必要がありますが、それまでの間、少しでも痛みを和らげる方法をご紹介します。

ただし、これは一時的な応急処置でしかなく、根本的な解決にはなりません。この方法で痛みが治まったとしても、後日必ず歯科医院に行きましょう。

患部を冷やす

冷やすことで痛みが緩和されることがあります。氷を口に含んで痛いところに当てる、冷やしたタオルや氷のうを頬に当てるなどするとよいでしょう。

ただし、ひどいむし歯などで痛みが強い場合、冷やすとかえって痛みが増すことがあるので様子を見て判断しましょう。

口の中を清潔にする

細菌による感染が原因でまだ痛みが弱い場合、汚れを取り除くことで痛みが和らぐことがあります。

痛みの程度にもよりますが、可能であれば歯ブラシで優しく磨きましょう。特に食事の後に歯痛を感じる場合、食べカスがむし歯でできた穴に入って神経を圧迫しているかもしれません。やわらかめの歯ブラシを使い、患部を刺激しないようにブラッシングするのがポイントです。

痛み止めを服用する

処方された痛み止めがある場合、我慢せずに痛み止めを飲みましょう。薬が効くまで少し時間はかかりますが、一時的に痛みを抑えられます。

市販で手に入るロキソニンやバファリンといった鎮痛剤でも構いません。症状の欄に「歯痛」が含まれているものであれば、効果を得られます。夜中に急に歯が痛み出すケースもあるので、ご自宅に「歯の痛み止め」が一つあると安心です。

ぬるま湯でうがいをする

歯磨きがつらい場合には、ぬるま湯でうがいをするのも効果的です。

丁寧にうがいをして歯に詰まったものを取り除けば、即効性はありませんが細菌繁殖を予防して、痛みの悪化防止につながります。

精密な根管治療で歯を残す

重度のむし歯になると、歯の神経に細菌が感染し、神経が死んでしまいます。この段階で適切な治療を行わなければ、抜歯が必要になるケースもあります。

しかし「根管治療」を行えば、歯の根を残して歯の機能を補える可能性が高まります。根管治療とは、死んだ神経を取り除き、歯の根を徹底的に洗浄・消毒し、最後に薬剤を詰める治療です。

根管治療の難しさ

根管は直径1mm以下で非常に細く、しかも入り組んだ形状をしているため、肉眼では確認できません。人によって湾曲していたり、枝分かれしていたりと形状が異なります。

細菌の除去が不十分なままで被せ物をしてしまえば、治療後にむし歯が再発したり歯の根の先に膿ができてしまい、治療のやり直しが必要になります。再発を防ぐには、細菌の侵入を可能な限り少なくして、細菌数を膿ができる閾値以下にする必要があります。

マイクロスコープを使った精密治療

当院では、治療の精度を高めるために「マイクロスコープ」(歯科用顕微鏡)を使った根管治療を行っております。

マイクロスコープを使うことで、最大数十倍まで視野を拡大しながら、汚れやヒビ、細かな根の入口までしっかり確認して治療できます。結果として、細菌の取り残しを減らし、再治療のリスクを抑えやすくなります。

根管の中の細かい汚れまで視認できるため、根管内の汚れや細菌を確実に除去し、消毒を行うことで再発リスクを大幅に減らすことができます。また、マイクロスコープを使った根管治療では、所要時間は長くかかりますが、より精密な治療ができ、通常は3回程度の通院で終わります。

ラバーダムによる感染予防

ラバーダムとは、治療を行う歯と、頬・舌を隔離する際に使用するゴムシートのことです。主な役割として、対象となる歯を周りの細菌感染から守ること、治療する歯を隔離することで小さい手術室を作ることがあげられます。

唾液の中にも細菌が沢山いて、治療中の器具や、唾液から再感染が起きる可能性もあります。ラバーダムによって、対象となる歯だけを視認できる状態にし、患部への唾液の侵入を防ぎます。

根管治療は一回目の治療が最も大事で、ラバーダムなどを使用し治療を行うことで、根管治療の成功率は95%を超えます。根の病気が再発し、再治療になると成功率は65%まで下がってしまいます。

歯髄保存療法という選択肢

むし歯が深いと、「神経を取らないとダメですね」と言われることもありますが、神経を取った歯はどうしても折れやすくなり、将来的に抜歯につながりやすくなります。

当院では、本当に神経を取るしかない状態なのか、一部でも残せる可能性はないかをマイクロスコープで細かく確認し、「歯髄保存療法」という、神経をできるだけ残す治療も検討します。

すぐに神経を取るのではなく、「残せる可能性があるかどうか」をマイクロスコープで丁寧に見極めたうえで治療方針を決定します。神経を残せれば歯は長持ちしやすく、将来の「抜歯リスク」を減らせる可能性があります。

「負のデンタルサイクル」から抜け出すために

歯は、一度削ったり神経を取ったりすると、元の健康な状態には戻りません。

治療 → しばらくして再発 → さらに大きな治療 → 最終的に抜歯・・・という「負のデンタルサイクル」に入ってしまう前に、できるだけ歯を残す精密な根管治療、神経を守るための歯髄保存療法、そして治療後の定期メインテナンス、この3つを組み合わせることが大切です。

早期発見・早期治療の重要性

「むし歯は痛くなってから治せば良い」と考える方が多いかもしれません。しかし一度むし歯になってしまうと、歯は失われてしまいます。むし歯治療とは無くなった歯を再生するわけではなく、別の材料で補って噛める状態にすることを言います。

一度失った歯は決して元には戻ることはないのです。さらに、むし歯は再発リスクが非常に高い病気です。多くの場合、一度治療した詰め物・被せ物と歯の間にある隙間からむし歯菌が侵入して再発します。

進行前のむし歯を治す

進行したむし歯は治療しなければ治りません。しかし、進行前に適切なケアを行えば、再石灰化によりむし歯は自然に治癒する可能性があります。

進行前のむし歯とは、痛みのある本格的なむし歯になる前の段階です。この段階では菌の影響が歯の表面のみにしか及んでいないため、再石灰化による回復が見込めます。削らずに治すためにも、むし歯は進行前に治療しましょう。

定期的なメインテナンスの大切さ

再発リスクを抑えるには、自分のむし歯リスクを知り、事前に予防すること。定期的に歯医者に通って検査し、歯が痛む前の初期段階で治療することが大切です。

当院では、精密な根管治療と歯髄保存療法、そして定期的なメインテナンスを組み合わせ、「負のデンタルサイクル(治療の繰り返し)」に陥らないことを目指しています。

まとめ:歯の痛みは早めの受診が大切です

歯がズキズキ痛む原因は、むし歯だけではありません。歯周病、知覚過敏、親知らず、根尖性歯周炎、歯根破折、噛み合わせの問題など、さまざまな原因が考えられます。

痛みの種類や特徴によって、原因となる病態が異なります。適切な治療を受けるためには、どのような痛みがいつ起こるのかを正確に把握し、早めに歯科医院を受診することが重要です。

応急処置として、患部を冷やす、口の中を清潔にする、痛み止めを服用するなどの方法がありますが、これらはあくまで一時的なものです。根本的な解決には、専門的な治療が必要です。

重度のむし歯であっても、マイクロスコープを使った精密な根管治療やラバーダムによる感染予防により、歯を残せる可能性が高まります。また、歯髄保存療法により、できるだけ神経を残すことで、将来の抜歯リスクを減らすことができます。

「この歯をなんとか残したい」「根の治療をしっかりやっておきたい」とお考えの方は、韮崎市の小林歯科医院へ一度ご相談ください。あなたの歯を守るための最適な方法を、一緒に考えていきます。

詳しい情報や治療についてのご質問は、小林歯科医院のホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。皆様の歯の健康をサポートするために、私たちはいつでもお待ちしております。

著者情報

小林歯科医院 院長 小林 健二

日本顕微鏡歯科学会 認定医