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ブルーラジカル治療とは?重度歯周病の仕組み・治療の流れ・費用を歯科医師が解説

- ▸ 歯周病で悩む方が「ブルーラジカル治療」を知るきっかけ
- ◦ 「歯磨きしているのに歯茎が腫れる」は珍しくない悩み
- ◦ 「何度治療しても再発してしまう」という経験はありませんか
- ◦ ブルーラジカルは「重度歯周病」のための治療です
- ▸ ブルーラジカルが歯周病に作用する仕組み
- ◦ どんな細菌への効果が期待されているのか
- ◦ 活性酸素は歯や歯茎に影響しないの?
- ▸ 治療の流れ|まずは保険診療の歯周基本治療から
- ◦ 検査・治療の進み方(保険診療→自費診療)
- ◦ 保険診療と自費診療の関係(混合診療について)
- ◦ 実際の処置と、処置中の痛みについて
- ◦ 治療後に気をつけたいこと
- ◦ 費用の目安
- ▸ 従来の歯周病治療との違いを整理する
- ◦ スケーリング・ルートプレーニングとの違い
- ◦ 歯周外科手術との違い
- ◦ どんな方に向いているか/受けられない方
- ▸ 小林歯科医院の歯周病へのアプローチ
- ▸ よくあるご質問(FAQ)
- ◦ この記事のまとめ
- ◦ 歯周病・お口の健康について、まずはご相談ください
- ◦ 監修:小林歯科医院 院長 小林 健二
「歯磨きをしっかりしているつもりなのに、歯茎の腫れや出血がなかなか改善しない」——そう感じている方は少なくありません。歯周病が進行すると、歯ブラシはもちろん、歯科の器具でも届きにくい歯周ポケットの深部に細菌が残ってしまうことがあり、従来の清掃だけでは改善に限界がある場合があります。
そこで選択肢のひとつとなるのが「ブルーラジカル治療」です。3%の過酸化水素水と405nmの青色レーザー光を同時に作用させて活性酸素(フリーラジカル)を発生させることで、歯周ポケット底部の殺菌を行う治療システムで、2023年に厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得しています。メスを使わずに進行した歯周病へアプローチできる点が大きな特徴です。
- ブルーラジカルの仕組みと、対象となる歯周病の進行度
- 保険診療の歯周基本治療から自費のブルーラジカル処置までの流れ
- 処置中・処置後の痛み、費用、受けられない方の条件
歯周病で悩む方が「ブルーラジカル治療」を知るきっかけ
「歯磨きしているのに歯茎が腫れる」は珍しくない悩み
毎日丁寧に歯磨きをしているにもかかわらず、「歯茎が赤い」「ブラッシング時に血が出る」「口臭が気になる」という症状に悩む方は多くいらっしゃいます。これらは歯周病の典型的なサインです。
歯周病は、歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」と呼ばれる溝に細菌が繁殖することで進行します。この細菌はバイオフィルムという膜を形成して歯の表面に強く付着するため、歯ブラシや普通のうがいだけでは落としにくい性質があります。
「何度治療しても再発してしまう」という経験はありませんか
歯周病治療を受けたことがある方の中には、「しばらくは改善したけれど、また再発してしまった」という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。これは、バイオフィルム内に生き残った歯周病菌が再び増殖することが一因とされています。
歯周ポケットが深くなると器具の先端が届きにくく、従来のスケーリング・ルートプレーニングだけでは取り残しが生じることがあります。そのため、深いポケットの底部にアプローチする方法として、ブルーラジカル治療が用いられるようになってきました。
ブルーラジカルは「重度歯周病」のための治療です
ここで大切な前提があります。ブルーラジカル治療は、主に歯周炎のステージⅢ・Ⅳ、つまり中等度から重度の歯周病を対象とした治療法です。歯周ポケットの深さが4mm以上で出血を伴う活動性の歯周病、特に6mm以上の深いポケットがある場合に効果が期待されています。
一方で、初期の歯周病(軽度歯肉炎・軽度歯周炎)に対しては、ブルーラジカルの効果は薄いとされています。この段階であれば、従来の歯周基本治療とブラッシングの改善で十分に対応できることが多く、ブルーラジカルはかえって過剰な治療となってしまいます。「新しい治療だから誰にでも良い」というものではなく、進行度に応じて適応を見極めることが前提となります。
ブルーラジカル治療は、失われた歯周組織や歯槽骨を再生させる治療ではありません。また、歯周病を完全に治癒させる治療でもありません。あくまで、深い歯周ポケット内の殺菌と沈着物の除去により、歯周病の進行をコントロールしていくための手段のひとつです。

ブルーラジカルが歯周病に作用する仕組み
ここでは、ブルーラジカル治療が歯周病菌にどのように作用するのか、その仕組みを整理します。
ブルーラジカル治療では、3%の過酸化水素水と405nmの青色レーザー光を、専用のチップから同時に歯周ポケット内へ届けます。薬剤を塗ってから時間をおいて光を当てる、という二段階の方法ではなく、薬液と光が同じタイミングで作用する点がこの機器の特徴です。これにより、器具の先端が入っていく歯周ポケットの底部で、その場で反応を起こすことができます。
過酸化水素水に青色レーザー光が作用すると、口腔内で反応性の高い活性酸素(フリーラジカル)が生成されます。この活性酸素が歯周病の原因菌を標的として殺菌します。「ブルーラジカル」という名称は、この「青色光(ブルー)」と「活性酸素(ラジカル)」を組み合わせたものです。口腔細菌に対して非常に高い殺菌力(99.99%の殺菌)が報告されており、従来の超音波スケーラーでは取り残しが生じやすかった深いポケット内の病原菌にもアプローチできる点が評価されています。
本機器には超音波スケーラーの機能も搭載されており、歯石やバイオフィルムを物理的に除去しながら、同時に殺菌を行える構造になっています。歯石等の沈着物の除去と歯周ポケット底部の殺菌ができる機能として、2023年に厚生労働省の医療機器製造販売承認を取得しています。臨床試験では、術前に6〜9mmだった歯周ポケットが、治療3か月後に平均4.6mmへ改善したという報告があります。
どんな細菌への効果が期待されているのか
歯周病の進行に深く関わるとされるのは、酸素が少ない環境を好む嫌気性菌です。代表的なものとして、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg菌)などが挙げられます。これらの菌は歯周ポケットの深部に潜み、歯槽骨(歯を支える骨)の破壊を促すとされており、歯周病治療の重要なターゲットとなります。ブルーラジカルは、こうした深部の細菌に対して物理的清掃と殺菌の両面からアプローチします。
活性酸素は歯や歯茎に影響しないの?
活性酸素と聞くと「体への影響が心配」と思われるかもしれません。ブルーラジカルでは、薬液と光が届いた歯周ポケット内というごく限られた範囲でのみ反応が起こり、発生した活性酸素はすぐに消費されるため、全身への影響はほとんどないと考えられています。
なお、処置後に一時的に歯ぐきが白く変色することがあります。これは過酸化水素水の強力な殺菌作用によるもので、通常は数日以内に自然な色へ戻りますのでご安心ください。ただし体質や全身状態には個人差がありますので、服薬状況やご病気については治療前に必ず歯科医師へお伝えください。
治療の流れ|まずは保険診療の歯周基本治療から
検査・治療の進み方(保険診療→自費診療)
ブルーラジカル治療は、来院してすぐに受けられる治療ではありません。まず保険診療の枠組みで歯周基本検査を行い、歯周基本治療を進めていくことが出発点です。そのうえで精密検査を行い、ご希望と適応が確認できた場合にブルーラジカル処置へ進みます。
- 歯周基本検査(保険診療):歯周ポケットの深さの測定(プロービング)、出血の有無(BOP)、レントゲン検査などにより、現在の進行度を把握します。
- 歯周基本治療・ブラッシング指導(保険診療):スケーリングや歯面清掃、セルフケアの改善を行います。ブルーラジカル治療の実施条件であるPCR(プラークコントロールレコード)20%以下を目指す期間です。状態によっては数週間から数か月かかることもあります。
- 精密検査・カウンセリング(自費診療):ブルーラジカル治療をご希望される場合、改めて自費診療として精密検査とカウンセリングを行い、適応の可否を判断します。
- ブルーラジカル処置(自費診療):浸潤麻酔下で処置を行います。1回で終える場合もあれば、部位を分けて数回に分ける場合もあります。
- フォローアップ(自費診療):術後1週・4週・8週にブラッシングチェックと歯面清掃、12週後に再検査を行い、効果を評価します。
準備期間からフォローアップまで含めると、初診から治療完了まで約3か月〜4か月が目安となります。
保険診療と自費診療の関係(混合診療について)
ここは費用面で誤解が生じやすい部分ですので、あらかじめご説明します。
日本の医療制度では、ひとつの治療の中で保険診療と自費診療を組み合わせて行うこと(混合診療)が原則として認められていません。そのため小林歯科医院では、まず保険診療として歯周基本検査・歯周基本治療を完了させ、その後の段階として自費診療のブルーラジカル治療に移行するという流れをとっています。
ご注意ください:ブルーラジカル処置と併せて行う精密検査やスケーリング(SC)、術後のフォローアップ(ブラッシングチェック・歯面清掃・再検査)は、保険が適用されず、すべて自費診療となります。実際の臨床では同じ日に処置と検査を行うこともありますが、その場合も費用は自費扱いとなりますので、あらかじめご了承ください。費用の詳細は、事前のカウンセリングでご説明いたします。
実際の処置と、処置中の痛みについて
ブルーラジカル処置は、必ず浸潤麻酔を行ったうえで実施します。そのため、処置中に痛みを感じることはありません。加えて、術前に鎮痛薬を服用していただくことで、麻酔が切れた後の痛みが出にくいよう配慮しています。
ただし、麻酔の注射時にはある程度の刺激を伴いますし、器具の挿入や薬液の味などで違和感を覚える方はいらっしゃいます。また、処置後に歯ぐきの痛みや不快感を覚える方も一定数いらっしゃいます。多くの場合は一時的なもので数日以内に治まりますが、痛みが続く場合は追加の処置やケア方法をご案内しますので、遠慮なくご相談ください。
処置時間は1歯あたり数分程度で、前歯は約3分、臼歯は約5分が目安です。1ブロック(前歯:3分×6本、臼歯:5分×4本)単位で進めることが一般的です。切開や縫合を伴わないため、処置後の制限は「麻酔が効いている間の飲食に注意していただく」程度で、通常の歯科受診と同じように日常生活を送っていただけます。
治療後に気をつけたいこと
歯周ポケットの減少は治療後1か月以内に最も起こることが分かっているため、この時期のセルフケアが特に重要です。治療期間中および治療3か月後までPCR値20%以下を維持することが、治療成功の鍵となります。口腔衛生管理が不十分な場合、再感染により期待した結果が得られないことがあります。歯科医師・歯科衛生士の指示に従い、フォローアップの通院を継続してください。
費用の目安
ブルーラジカル治療は保険適用外の自費診療です。小林歯科医院での費用の目安は以下のとおりです。
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| カウンセリング・精密検査(1時間) | 38,500円 |
| 相談説明のみ(30分) | 6,600円(10分延長ごとに1,100円) |
| ブルーラジカル処置(1歯あたり) | 11,000円 |
| ブルーラジカル処置(1ブロック) | 39,600円 |
| 術後1週・4週・8週のブラッシングチェック+歯面清掃 | 5,500円 |
| 術後12週の再検査・ブラッシングチェック+歯面清掃 | 6,600円 |
※上記は記事作成時点の料金です。歯の種類や病状により処置時間・本数は異なります。最新の費用や治療回数については、お問い合わせいただくかカウンセリング時にご確認ください。

従来の歯周病治療との違いを整理する
ブルーラジカル治療がどのような位置づけにあるのかを理解するために、従来の歯周病治療との違いを整理してみましょう。
スケーリング・ルートプレーニングとの違い
従来の歯周病治療の中心は、スケーリング(歯石除去)とルートプレーニング(歯根面の清掃)です。これらは器具を使って物理的に歯石や細菌の塊を取り除く方法で、歯周病治療の基本として長年行われてきた信頼性の高い治療法です。軽度〜中等度であれば、この歯周基本治療で十分な改善が得られることが多くあります。
一方、歯周ポケットが深くなると器具が届きにくく、取り残しが生じることがあります。ブルーラジカルは超音波による物理的除去と活性酸素による殺菌を同時に行えるため、深いポケットの底部にまで対応できる点が異なります。なお、ブルーラジカル治療は歯周基本治療に置き換わるものではなく、基本治療をきちんと行ったうえで用いる治療です。
歯周外科手術との違い
重度の歯周病では、歯ぐきを切開して歯根面を清掃するフラップ手術などの外科的処置が選択されてきました。確実に視野を得られる一方で、切開・剥離・縫合を伴うため、術後の痛みや腫れ、回復期間が患者さんの負担となります。
ブルーラジカルは非外科的なアプローチのため、術後の痛みや腫れが少なく、身体的・心理的な負担を抑えられます。「手術は避けたい」「できるだけ歯を残したい」とお考えの方にとって、検討する価値のある選択肢のひとつです。
ブルーラジカル治療のメリット
- 切開・縫合を伴わず、術後の痛みや腫れが少ない
- 深い歯周ポケットの底部まで殺菌が期待できる
- 超音波機能で歯石・バイオフィルムの除去も同時に行える
- 抗生物質を用いないため耐性菌の心配が少ない
- 全身疾患をお持ちの方でも身体的負担を抑えやすい
注意すべき点・制限
- 初期・軽度の歯周病には効果が薄く、過剰治療となる可能性がある
- 保険適用外の自費診療で、併用する検査・SCも自費となる
- PCR20%以下という条件を満たすまで準備期間が必要
- 歯周組織や骨を再生させる治療ではなく、保存が難しい歯もある
- 治療後も定期的なメンテナンスが不可欠
- 導入している歯科医院が限られている
どんな方に向いているか/受けられない方
ブルーラジカル治療は、以下のような方に向いているとされています(適応の判断は歯科医師が個別に行います)。
- 中等度から重度の歯周病(ステージⅢ・Ⅳ)と診断されている方
- 歯周ポケットが6mm以上あり、従来の清掃だけでは改善しにくい方
- フラップ手術などの外科的処置を避けたい方
- 抜歯が必要と言われたが、できるだけ歯を残したい方
- 高血圧や糖尿病などの全身疾患があり、外科処置の負担を抑えたい方
一方、下記に該当する方には、安全性の観点からブルーラジカル治療をご案内できません。該当する場合は別の適切な治療法をご提案いたしますので、まずはご相談ください。
- 妊娠中の方
- ペースメーカーを装着されている方
- 局所麻酔注射が不可能な方
- 光過敏症の診断を受けている方
- 無カタラーゼ症の方
- 鼻呼吸ができない、もしくは水を口に溜めていられない方
- 骨粗鬆症でBP製剤を服用されている方
小林歯科医院の歯周病へのアプローチ
山梨県韮崎市にある小林歯科医院では、ブルーラジカル治療を「歯周病を完全に治癒させる魔法の治療」とは考えていません。歯周病は慢性的な疾患であり、治療後のセルフケアや定期管理がなければ再発リスクは高まります。だからこそ、基本治療・ブラッシング指導・定期的なプロフェッショナルケアと組み合わせた包括的な歯周病管理を治療方針としています。
- マイクロスコープ(最大20倍)による精密な歯周病処置:日本顕微鏡歯科学会認定医の院長が、肉眼では確認できない部分もマイクロスコープで可視化しながら処置を行います。
- 唾液検査によるリスクの客観的な把握:初診・再初診の方を対象に唾液検査(初回無料)を実施し、歯周病菌の活動度や虫歯リスクを数値で確認します。
- 歯科用CT完備による骨の状態の精密診断:レントゲンだけでは把握しにくい3次元的な歯槽骨の状態を確認し、進行度を正確に評価します。
- PCR値・BOP値など総合的な評価による適応判断:歯周病の進行度、歯ぐきや骨の状態、全身疾患や服薬状況、PCR値などを総合的に評価し、安全に実施できるかを慎重に判断しています。
- 厚生省認定「歯科外来診療環境体制」取得と院内感染対策:電気分解による衛生水供給装置の設置など、繰り返し通院いただく治療だからこその環境づくりに力を入れています。
よくあるご質問(FAQ)
この記事のまとめ
- ブルーラジカルは、3%過酸化水素水と405nmの青色レーザー光を同時に作用させ、発生した活性酸素で歯周ポケット底部を殺菌する治療システム(2023年に医療機器製造販売承認取得)
- 超音波スケーラー機能により、歯石やバイオフィルムの物理的除去も同時に行える
- 対象は中等度〜重度(ステージⅢ・Ⅳ)の歯周病。初期の歯周病には効果が薄く、過剰治療となる可能性がある
- まず保険診療で歯周基本検査・歯周基本治療を行い、その後に自費診療として精密検査・ブルーラジカル処置へ進む。併用する検査やSCも自費診療となる
- 処置は必ず浸潤麻酔下で行うため処置中の痛みはないが、違和感や術後の痛みを感じる方はいらっしゃる
- PCR20%以下の維持と定期的なメンテナンスが、効果を引き出し再発を防ぐうえで不可欠

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小林歯科医院|山梨県韮崎市
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歯周病は「沈黙の病」とも呼ばれるほど、痛みを感じにくいまま進行することがあります。ブルーラジカルは重度の歯周病に対して有力な選択肢ですが、これだけで歯周病が治るわけではありません。処置の前後にどれだけ丁寧なセルフケアと管理ができるかで、結果は大きく変わります。当院では検査データをお見せしながら、今どんな状態にあるのか、この治療が本当に必要なのかを正直にお伝えしたうえで、一緒に治療計画を考えていきたいと思っています。100歳になっても美味しく食べられるお口を目指して、どうぞ気軽にご相談ください。
小林歯科医院 院長 小林 健二