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ブルーラジカル治療とは?治療の流れと適応を歯科医がわかりやすく解説

歯周病は、日本人が歯を失う原因の第一位です。

重度まで進行すると、従来は歯ぐきを切開する外科手術が必要とされてきました。

しかし近年、青色LEDと過酸化水素を用いた「ブルーラジカル治療」という新しい選択肢が登場し、メスを使わずに歯周病菌を除去できる可能性が広がっています。

この記事では、山梨県韮崎市の小林歯科医院で導入している「ブルーラジカル治療」について、治療の仕組みから実際の流れ、適応症例まで、院長の小林がわかりやすく解説していきます。

ブルーラジカル治療とは?

ブルーラジカル治療は、東北大学とLuke株式会社が約17年の共同研究を経て開発した、世界初の歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」を使用した治療法です。

この治療器は、厚生労働省から「歯周治療・歯周炎・歯周ポケットの殺菌・スケーリング」に適応する医療機器として正式に認定されています。

つまり、国が安全性と有効性を認めた治療システムということです。

青色LEDと過酸化水素によるラジカル殺菌

ブルーラジカル治療の核となるのが「ラジカル殺菌」という技術です。

波長405nmの青色LED光を3%の過酸化水素水に照射することで、「ヒドロキシルラジカル」という活性酸素の一種が発生します。

ヒドロキシルラジカルは反応性が非常に高く、強い酸化力を持つため、高い殺菌作用を発揮します。

この殺菌メカニズムは、実は私たちの体内で白血球が細菌を攻撃する際に使っている方法と同じです。

生体で使われている殺菌方法なので、人体への安全性が確保されているのが特徴です。

また、光が照射されたところのみにヒドロキシルラジカルが発生するため、殺菌力のコントロールが可能です。

照射を止めると、ヒドロキシルラジカルは数ナノ秒という短時間で消失し、残留することがありません。

従来の治療法との違い

従来の歯周病治療では、超音波スケーラーを使って歯石や歯垢を物理的に除去していました。

しかし、重度の歯周病になると、歯周ポケットが深くなり、器具が届きにくい部分に細菌が残ってしまうことがあります。

取り残した部分には、抗菌薬の投与といった副作用を伴う化学療法が必要になることもありました。

ブルーラジカル治療では、超音波振動による歯石・歯垢の除去と、ラジカル殺菌を同時に行うことができます。

虫歯菌や歯周病を引き起こす口腔細菌を99.99%殺菌できることが実証されています。

つまり、「見えないところの汚れ」と「細菌そのもの」の両方にアプローチできるのが、ブルーラジカル治療の大きな特徴です。

さらに、バイオフィルム(細菌の集合体が膜化したもの)の内部まで殺菌できるのも、この治療法の強みです。

ブルーラジカル治療の4つの特徴

1. 外科手術が不要

最大のメリットは、歯ぐきを切開する外科処置が不要という点です。

従来、重度の歯周病では歯ぐきを切開して歯根面の歯石を直接取り除く「フラップ手術」が必要とされてきました。

しかし、ブルーラジカル治療では、歯周ポケット内に専用のチップを挿入し、光と薬液の力で殺菌を行うため、切開や縫合が必要ありません。

そのため、術後の腫れや痛みの負担が少なく、治療後の回復も早いという利点があります。

「手術は怖い」「体への負担が心配」という方にとって、大きな安心材料となる治療法です。

2. 深い歯周ポケットにも対応

ブルーラジカル治療は、歯周ポケットの奥深くに潜む細菌にまでアプローチできます。

従来の器具では届きにくかった深部にも、専用チップを挿入することで、確実に殺菌処置を行うことができます。

光が照射されたところのみにヒドロキシルラジカルが発生するため、殺菌力のコントロールが可能です。

照射を止めると、ヒドロキシルラジカルは数ナノ秒という短時間で消失し、残留することがありません。

バイオフィルム(細菌の集合体が膜化したもの)の内部まで殺菌できるのも、この治療法の強みです。

従来の治療では、バイオフィルムを物理的に破壊する必要がありましたが、ブルーラジカル治療では、バイオフィルムの内部まで浸透して殺菌することができます。

3. 治療時間が短い

1歯あたりの治療時間は平均5分程度です。

従来の治療では、口腔内を4〜6ブロックに分割して行うSRP(スケーリング・ルートプレーニング)が一般的で、複数回の通院が必要でした。

ブルーラジカル治療では、必要な部位を1回で治療できるため、治療期間の短縮が期待できます。

「仕事や家事でなかなか時間が取れない」「体への負担が心配」という方にも選ばれています。

ただし、治療前の検査や基本的な歯周治療は必要ですので、全体の治療期間については、カウンセリング時に詳しくご説明します。

4. 薬剤耐性菌が発生しない

抗菌薬を使用した治療では、薬剤耐性菌が発生するリスクがあります。

しかし、ブルーラジカル治療では、ヒドロキシルラジカルの強い酸化力によって細菌を物理的に破壊するため、薬剤耐性菌が発生する心配がありません。

また、過酸化水素を用いたラジカル殺菌は生体で使われている殺菌方法なので、人体への影響もほとんどありません。

副作用のリスクが少ないという点も、この治療法の大きなメリットです。

ブルーラジカル治療の流れ

小林歯科医院では、ブルーラジカル治療を「魔法の治療」とは考えていません。

治療前にしっかりと検査を行い、お口の環境を整えたうえで、本当に必要な部位にのみ実施するかどうかを慎重に判断しています。

ここでは、実際の治療の流れをご説明します。

1. 検査・カウンセリング

まずは歯周病の進行度を把握するため、精密な検査を行います。

具体的には、レントゲン撮影、口腔内写真、歯周ポケットの深さを測る歯周病精密検査、PCR値(プラークの付き具合)のチェックなどを実施します。

これらの検査結果をもとに、ブルーラジカル治療が適応となるかどうかを診断します。

また、持病やお薬の関係でおすすめできない場合もあるため、カウンセリングでしっかりとお話を伺いながら、費用・回数・リスクも含めてわかりやすくご説明します。

患者さんが納得されたうえで、治療を進めていくことを大切にしています。

2. 基本的な歯周治療とブラッシング指導

ブルーラジカル治療の効果を最大限に引き出すためには、治療前にお口の環境を整えることが重要です。

まずは、ブラッシング指導や基本的な歯周治療(スケーリング、SRP)を行い、歯ぐきの炎症を抑えます。

日々のセルフケアがしっかりできていないと、どんなに優れた治療を行っても、再発のリスクが高まってしまいます。

この段階で、患者さんご自身が「歯を守りたい」という気持ちを持ち、毎日のケアに取り組んでいただくことが、治療成功の鍵となります。

小林歯科医院では、歯科衛生士が丁寧にブラッシング指導を行い、患者さん一人ひとりに合ったケア方法をご提案しています。

3. ブルーラジカル処置

お口の環境が整ったら、いよいよブルーラジカル治療を行います。

治療時には浸潤麻酔を行いますので、痛みを感じることはほとんどありません。

専用のチップを歯周ポケット内に挿入し、青色LED光を照射しながら、過酸化水素水を放出します。

同時に超音波振動によるスケーリングも行い、歯石やバイオフィルムを取り除きます。

1歯あたり平均5分程度で処置が完了します。

治療後には、必要に応じてお薬を処方します。

術後の腫れや痛みは、従来の外科手術と比べて少ないですが、個人差がありますので、気になることがあればすぐにご連絡ください。

4. 経過観察とメンテナンス

治療後は、1〜2週間後に経過チェックを行います。

歯ぐきの状態や炎症の有無を確認し、さらに1か月後には再度歯周病精密検査を実施します。

治療効果を評価し、今後のメインテナンス計画を立てていきます。

ブルーラジカル治療は、一度行えば終わりというものではありません。

日々のセルフケアと専門的なメインテナンスを組み合わせることで、できるだけ長くご自身の歯で噛める状態を目指していきます。

小林歯科医院では、治療後も患者さんと一緒に、長期的な歯周病管理に取り組んでいきます。

ブルーラジカル治療の適応症例

中等度〜重度の歯周病が対象

ブルーラジカル治療は、主に中等度〜重度の歯周病(歯周炎ステージⅢ・Ⅳ)を対象とした治療法です。

軽度の歯周病の場合は、従来の治療法でも十分な効果が期待できるため、過剰な治療となる可能性があります。

逆に、歯周病が非常に重度まで進行している場合は、残念ながら歯を残せないケースもあります。

適応となるかどうかは、検査結果をもとに慎重に判断します。

小林歯科医院では、患者さんの状態を正確に把握し、最適な治療方法をご提案します。

こんな方におすすめです

  • 歯ぐきの腫れや出血が続いている方
  • 歯がグラグラしていて不安を感じている方
  • 他院で抜歯と言われたが、できれば残したい方
  • 外科手術はできれば避けたい方
  • 仕事や家事で通院回数を減らしたい方
  • 薬剤アレルギーがあり、抗菌薬の使用を避けたい方

上記に当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。

治療が受けられない場合もあります

以下に該当する方は、ブルーラジカル治療をお受けいただけない場合があります。

  • 麻酔注射が困難な方
  • 妊娠中の方
  • ペースメーカーを使用されている方
  • 光過敏症の方
  • 無カタラーゼ症の方

持病やお薬の関係で治療が難しい場合もありますので、カウンセリング時に詳しくお話を伺います。

患者さんの安全を第一に考え、適切な治療方法をご提案します。

ブルーラジカル治療の費用と注意点

自費診療となります

ブルーラジカル治療は、先進的な技術を使用した治療のため、自費診療(保険適用外)となります。

費用は医院によって異なりますが、一般的には1歯あたり16,500円〜22,000円程度が相場です。

治療本数や部位、初期治療の有無などによって総額が変動するため、事前のカウンセリングで詳細をご説明します。

また、初診の方は事前審査が必要となり、別途費用がかかる場合があります。

小林歯科医院では、費用について明確にご説明し、患者さんが納得されたうえで治療を進めていきます。

治療後のメンテナンスが重要です

ブルーラジカル治療は、高い殺菌力によって歯周病の進行を抑えることができる治療法です。

しかし、歯周病を完治したり、失った歯周組織を再生したりできるものではありません。

治療後も定期的なメインテナンスと、日々のセルフケアが不可欠です。

小林歯科医院では、治療後も患者さんと一緒に、長期的な歯周病管理に取り組んでいきます。

定期的なメインテナンスを受けることで、再発のリスクを減らし、できるだけ長くご自身の歯で噛める状態を維持することができます。

まとめ

ブルーラジカル治療は、青色LEDと過酸化水素を用いた世界初の歯周病治療システムです。

メスを使わずに歯周ポケットの奥深くまで殺菌できるため、従来の外科手術と比べて体への負担が少なく、治療時間も短く済みます。

中等度〜重度の歯周病でお悩みの方にとって、有力な選択肢の一つとなり得る治療法です。

ただし、この治療は「魔法の治療」ではありません。

治療前の検査、基本的な歯周治療、そして日々のセルフケアがあってこそ、効果を発揮します。

小林歯科医院では、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせて、最適な治療方法を一緒に考えていきます。

「手術はできれば避けたいけれど、この歯をなんとか残したい」「他院で抜歯と言われたけれど、一度相談してみたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

できるだけ長くご自身の歯で噛める未来を、一緒に目指していきましょう。

詳しい情報や治療についてのご質問は、小林歯科医院のホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。皆様の歯の健康をサポートするために、私たちはいつでもお待ちしております。

著者情報

小林歯科医院 院長 小林 健二

日本顕微鏡歯科学会 認定医