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根管治療の専門家を選ぶ5つのポイント〜失敗しない歯科医選び

歯の痛みの中でも特に辛いのが、神経に達した痛みではないでしょうか。そんなとき必要となるのが根管治療です。しかし、この治療は歯科医師の技術によって成功率が大きく変わることをご存知でしょうか。
根管治療は歯科治療の中でも特に難易度が高く、日本における成功率はおよそ50%程度と言われています。つまり、半分の確率で再治療が必要になるのです。
私は歯科大学を卒業後、勤務先にて、マイクロスコープを用いた精密治療を学んできました。日本顕微鏡歯科学会認定医として、根管治療の重要性と専門家選びのポイントをお伝えします。
根管治療とは?成功率を左右する要因
根管治療は、むし歯が神経まで達してしまった場合や、すでに神経が死んでしまった歯に対して行う治療です。歯の内部にある「根管」と呼ばれる細い管から感染源を除去し、再び細菌が入らないように密閉する重要な処置です。
この治療が難しい理由は、根管の形状が複雑で個人差が大きいことにあります。根管は木の根のように枝分かれしていたり、大きく湾曲していたりするのです。
根管治療の成功率を左右する最大の要因は、歯科医師の技術と使用する設備です。日本の保険診療における根管治療の成功率は約30〜50%程度と言われています。
これに対して、専門的な技術と設備を用いた自費診療での根管治療では、成功率が90%以上に達することもあるのです。※精密根管治療は自費診療となります。
では、根管治療の専門家を選ぶ際、どのようなポイントに注目すべきでしょうか?
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ポイント1:マイクロスコープを使用しているか

根管治療の成功率を大きく左右する要素の一つが、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)の使用です。肉眼では見えない微細な根管内部を20倍以上に拡大して治療できるため、見落としが格段に減少します。
私が松本市の望月デンタルクリニックで学んだ時、マイクロスコープを使った治療と使わない治療の差に衝撃を受けました。肉眼では絶対に見えない亀裂や副根管が、マイクロスコープ下ではっきりと確認できるのです。
マイクロスコープを導入している歯科医院は、それだけ精密な治療にこだわりを持っている証拠です。初診時のカウンセリングで「マイクロスコープを使用した根管治療を行っていますか?」と質問してみましょう。
実際、マイクロスコープを使用した根管治療の成功率は、使用しない場合と比べて約1.5倍高いというデータもあります。
ポイント2:ラバーダム防湿を行っているか
根管治療の成功には、無菌的な環境の確保が絶対条件です。ラバーダム防湿とは、治療する歯をゴム製のシートで覆い、唾液などの細菌が根管内に侵入するのを防ぐ方法です。
これは根管治療において必須の手順であり、ラバーダム防湿なしの根管治療は、細菌汚染のリスクが非常に高くなります。唾液には多くの細菌が含まれており、これが根管内に入ると治療が失敗する大きな原因となるのです。
残念ながら、日本の歯科医院ではラバーダム防湿を行わない根管治療も少なくありません。これは治療時間の短縮や保険診療の制約が理由として考えられます。
ラバーダム防湿を行わない根管治療は、いくら腕の良い歯科医師が行っても成功率が大幅に下がります。根管治療を受ける際は、ラバーダム防湿を行っているかを確認しましょう。
どうですか?あなたが今まで受けた根管治療で、このゴム製のシートを使用した記憶はありますか?
ポイント3:歯科用CTを活用しているか

根管の形状は非常に複雑で、通常のレントゲン写真では完全に把握することができません。従来のレントゲンは二次元の画像であるため、根管の立体的な構造や分岐を正確に捉えることができないのです。
歯科用CT(コーンビームCT)は、歯の三次元的な構造を詳細に撮影できる装置です。これにより、複雑な根管形態や通常のレントゲンでは発見できない病変を事前に把握することができます。

私が日々の診療で実感するのは、CTを使用することで治療前の診断精度が格段に向上するということです。例えば、レントゲンでは見えなかった副根管や複雑な湾曲が明確に確認でき、それに応じた治療計画を立てることができます。
CTを導入している歯科医院は、精密な診断と治療にこだわりを持っている証拠です。根管治療を受ける際は、歯科用CTを活用しているかどうかも重要なチェックポイントとなります。
ポイント4:根管治療の専門性と経験
根管治療は非常に専門性の高い治療です。日本には歯内療法(根管治療)を専門とする認定医や専門医の制度があり、これらの資格を持つ歯科医師は高度な知識と技術を持っています。
例えば、日本歯内療法学会専門医や日本顕微鏡歯科学会認定医などの資格があります。これらの資格を持つ歯科医師は、根管治療に関する専門的な研修を受け、一定の症例数をこなしています。
私自身、日本顕微鏡歯科学会認定医として、マイクロスコープを用いた精密な根管治療を日々行っています。この資格を取得するためには、多くの症例をこなし、厳しい審査を通過する必要があります。
また、根管治療の経験も非常に重要です。特に難症例(再治療や複雑な根管形態など)を多く手がけている歯科医師は、予期せぬ状況にも対応できる技術を持っています。
歯科医院のウェブサイトや初診時のカウンセリングで、院長や担当医の専門性や経験について確認することをお勧めします。特に「再根管治療(一度治療した歯の再治療)の経験が豊富か」という点は重要なチェックポイントです。
ポイント5:治療方針と時間の取り方
根管治療は時間をかけて丁寧に行うことが成功の鍵です。保険診療では1回あたりの治療時間が限られていることが多く、複数回の通院が必要になります。
一方、自費診療では十分な時間をかけて治療を行うことができ、場合によっては1〜2回の通院で完了することもあります。治療方針と時間の取り方は、根管治療の質に大きく影響します。
私が「木も見て森も見る」という治療方針を大切にしているのは、一本の歯をしっかり治療することと同時に、口腔全体の健康を考えることが重要だからです。根管治療も同様で、一つの根管を丁寧に治療することと、歯全体の機能回復を両立させる視点が必要です。
良い根管治療専門医は、治療前に詳細な説明を行い、患者さんの理解と同意を得た上で治療を進めます。また、治療にかかる時間や回数、費用についても明確に説明してくれるはずです。
「なぜこの治療が必要なのか」「どのような方法で行うのか」「成功率はどのくらいか」といった点について、分かりやすく説明してくれる歯科医師を選びましょう。
まとめ:あなたの歯を守るための選択
根管治療は、歯を残すための最後の砦とも言える重要な治療です。適切な専門家を選ぶことで、治療の成功率は大きく向上します。
根管治療の専門家を選ぶ5つのポイントをおさらいしましょう:
- マイクロスコープを使用しているか:微細な根管内部を拡大視野で治療できるか
- ラバーダム防湿を行っているか:無菌的な環境で治療を行っているか
- 歯科用CTを活用しているか:三次元的な診断が可能か
- 根管治療の専門性と経験:専門医・認定医の資格や難症例の経験があるか
- 治療方針と時間の取り方:丁寧な説明と適切な治療時間を確保しているか
これらのポイントを満たす歯科医院を選ぶことで、根管治療の成功率は格段に向上します。あなたの大切な歯を長く保つためにも、根管治療専門家選びは慎重に行いましょう。
私たち歯科医師も日々研鑽を積み、より良い治療を提供できるよう努力しています。患者さんには、ご自身の歯の健康のために、適切な情報を基に最良の選択をしていただきたいと思います。
根管治療でお悩みの方は、ぜひ専門性の高い歯科医院での相談をお勧めします。あなたの歯を長く守るための第一歩として、ぜひ根管治療の専門家を適切に選んでください。
著者情報
小林歯科医院 院長 小林 健二
日本顕微鏡歯科学会 認定医

