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根管治療の期間と回数はどのくらい?完治までの全工程を解説

根管治療とは?歯を救う最後の砦
歯の神経まで虫歯が進行してしまった場合、「根管治療」が必要になります。この治療は、歯の内部にある「根管」と呼ばれる空間を清掃・消毒し、細菌感染を取り除く専門的な処置です。
根管治療は、歯科治療の中でも特に繊細な技術と時間を要する治療法です。歯の神経(歯髄)が感染または壊死した場合に行われ、抜歯を回避して自分の歯を残すための最後のチャンスとなります。
私が勤務医時代から特に力を入れてきたのが、この根管治療です。歯の根の中は複雑な形状をしており、肉眼だけでは十分な処置ができません。そのため当院ではマイクロスコープを用いた精密な治療を行っています。
根管治療は単に痛みを取り除くだけでなく、将来的な歯の喪失を防ぐ重要な治療です。しかし、「治療期間が長い」「何度も通院が必要」といった声をよく耳にします。
今回は、根管治療の全工程と期間、回数について詳しく解説します。治療の流れを理解することで、不安を軽減し、最適な治療結果を得るための参考にしていただければと思います。
根管治療が必要になるケースと症状
根管治療が必要となるのは、主に以下のような場合です。
- 深い虫歯が神経まで達した場合
- 歯の神経が細菌感染により炎症を起こしている場合
- 歯の神経が壊死してしまった場合
- 過去に根管治療をした歯が再感染した場合
- 歯に強い衝撃が加わり、神経が損傷した場合
これらの状態になると、「ズキズキとした自発痛」「冷たいものや熱いものがしみる」「噛むと痛い」「何もしなくても痛む」「歯の根元が腫れる」といった症状が現れます。
特に夜間に痛みが強くなるケースが多く、眠れないほどの激痛に悩まされる患者さんも少なくありません。このような症状が出たら、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
放置すると症状は悪化するばかりか、顔面の腫れや発熱など全身症状に発展することもあります。さらに、感染が顎の骨にまで及ぶと「歯根嚢胞」という病気を引き起こし、治療がより複雑になってしまいます。
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根管治療の全工程:ステップバイステップで解説
根管治療は複数のステップに分かれており、それぞれの工程を丁寧に行うことが成功の鍵となります。一般的な根管治療の流れを、実際の臨床経験に基づいて解説します。
1. 診査・診断

まず初めに、レントゲンやCT撮影を行い、歯の状態を詳しく調べます。根管の形状や本数、感染の程度を正確に把握することが、治療計画を立てる上で非常に重要です。
当院では、コーンビームCTを活用して三次元的に根管の形態を把握し、より精密な治療計画を立てています。これにより、複雑な根管形態も事前に把握できるため、治療の成功率が高まります。
2. 虫歯部分の除去とアクセスホールの形成
虫歯部分を完全に除去し、根管へのアクセスホール(入り口)を形成します。この段階で、神経が生きている場合は麻酔をしっかりと効かせて痛みを抑えます。
アクセスホールは小さすぎると作業性が悪くなり、大きすぎると歯の強度が低下するため、適切なサイズで形成することが重要です。マイクロスコープを使用することで、必要最小限のアクセスホールで精密な処置が可能になります。
3. 神経の除去と根管形成
専用の器具(ファイルやリーマー)を使って、感染した神経組織を取り除き、根管内を清掃します。同時に、根管を適切な形に整える「根管形成」も行います。
根管は非常に細く複雑な形状をしているため、この工程は根気と技術を要します。特に奥歯は根管が複数あり、形も複雑なため、処置に時間がかかります。
4. 根管洗浄と消毒
根管内を専用の薬剤(次亜塩素酸ナトリウムやEDTA溶液など)で洗浄し、残存する細菌や組織を除去します。この洗浄は非常に重要で、機械的な清掃だけでは取り除けない細菌を化学的に殺菌します。
感染の程度が強い場合は、水酸化カルシウム製剤などの薬剤を一時的に根管内に充填し、次回の来院まで消毒を継続します。これを「貼薬」と呼びます。
5. 根管充填
根管内の消毒が完了したら、根管充填を行います。ガッタパーチャという特殊なゴム状の材料とシーラーと呼ばれる薬剤を用いて、根管内を密封します。
充填の際は、根管の先端まですき間なく材料を詰めることが重要です。すき間があると、そこから細菌が侵入して再感染を起こす可能性があります。
6. 土台作りと被せ物の装着
根管治療を行った歯は、通常の歯に比べて脆くなっているため、適切な被せ物で保護する必要があります。まず土台を作り、その上に被せ物(クラウン)を装着します。
被せ物は、見た目の審美性だけでなく、噛み合わせや強度も考慮して作製します。これにより、治療した歯を長期間使用できるようになります。
根管治療にかかる期間と回数の目安

「根管治療はいつ終わるの?」これは患者さんから最もよく受ける質問の一つです。根管治療の期間と回数は、歯の状態や感染の程度によって大きく異なります。
歯の種類による違い
前歯は根管が1本で比較的単純な形状のため、治療回数は2~3回程度で済むことが多いです。一方、奥歯(大臼歯)は根管が3~4本あり、形状も複雑なため、3~4回以上の治療が必要になることがあります。
具体的な目安としては以下のようになります:
- 前歯・犬歯:2~3回(約1ヶ月)
- 小臼歯:2~4回(約1~1.5ヶ月)
- 大臼歯:3~5回(約1.5~2ヶ月)
ただし、これはあくまで平均的な目安であり、個々の症例によって大きく異なることをご理解ください。
感染の程度による違い
感染の程度も治療期間に大きく影響します。初期段階の軽度な感染であれば、比較的短期間で治療が完了します。しかし、長期間放置された重度の感染や、歯根の先に膿が溜まっている場合(根尖性歯周炎)は、消毒に時間がかかり、治療回数が増えることがあります。
重度の感染の場合、4~5回の消毒処置が必要になることもあります。さらに難治性の場合は、数ヶ月にわたって治療が続くこともあります。
再根管治療(リトリートメント)の場合
過去に根管治療を受けた歯が再び問題を起こした場合、「再根管治療」が必要になることがあります。この場合、古い充填材を除去する工程が加わるため、通常の根管治療よりも時間と回数がかかります。
再根管治療は、通常の根管治療よりも1~2回多く通院が必要になることが一般的です。また、技術的にも難易度が高いため、専門的な知識と経験を持つ歯科医師による治療が望ましいでしょう。
根管治療の成功率と予後に影響する要因
根管治療の成功率は、さまざまな要因によって左右されます。東京医科歯科大学の調査データによると、一般的な歯科医院での根管治療の成功率は歯の種類によって30~50%程度とされています。
しかし、適切な設備と技術を用いた専門的な根管治療では、成功率は大幅に向上します。特にマイクロスコープを使用した精密根管治療では、90%以上の成功率が報告されています。
成功率に影響する主な要因
- 歯科医師の技術と経験:根管治療は高度な技術を要するため、経験豊富な歯科医師による治療が望ましい
- 使用する機器と材料:マイクロスコープ、電気的根管長測定器、ニッケルチタンファイルなどの最新機器を使用することで精度が向上
- 根管の形態:複雑な形状や細い根管は処置が難しく、成功率が下がることがある
- 感染の程度:長期間放置された重度の感染は治療が難しい
- 患者さんの全身状態:糖尿病などの全身疾患がある場合、治癒が遅れることがある
当院では、日本顕微鏡歯科学会認定医としての専門知識と経験を活かし、マイクロスコープを用いた精密な根管治療を提供しています。これにより、通常では難しいとされる症例でも高い成功率を実現しています。
治療後のケアと長期予後

根管治療後の予後を良好に保つためには、適切な被せ物(クラウン)で歯を保護することが重要です。根管治療を行った歯は内部が空洞になるため、噛む力で割れやすくなります。
また、定期的なメンテナンスも欠かせません。3~6ヶ月ごとの定期検診で、治療した歯の状態を確認することで、問題が生じた場合も早期に対応できます。
根管治療を受けた歯も、適切なケアを続ければ長期間使用することができます。実際に、適切に治療された歯は10年以上の生存率が90%以上という報告もあります。
根管治療中の痛みと対処法
根管治療は「痛い治療」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、現代の歯科医療では、さまざまな方法で痛みをコントロールすることができます。
治療中の痛み
治療中の痛みは、適切な麻酔によってほとんど感じないようにすることが可能です。当院では、痛みに敏感な患者さんには表面麻酔を先に塗布してから注射を行うなど、痛みを最小限に抑える工夫をしています。
また、マイクロスコープを使用することで、より正確な処置が可能になり、不必要な刺激を避けることができます。
治療後の痛み
根管治療後、一時的に以下のような痛みや違和感が生じることがあります:
- 歯がズキズキ痛む:治療による刺激や、膿が出る過程での痛み
- 噛むと痛む:根管内の感染が強かった場合に生じることがある
- 薬を詰めた後の圧迫感:根管充填時の圧力による一時的な痛み
これらの症状は通常、数日以内に自然に治まります。痛みが強い場合は市販の鎮痛剤を服用するか、歯科医院に相談することをお勧めします。
3日以上経っても痛みが治まらない、あるいは痛みが増す場合は、治療を行った歯科医院に連絡してください。追加の処置が必要な場合があります。
まとめ:根管治療を成功させるために
根管治療は、感染した歯を救い、機能を回復させるための重要な治療法です。治療期間と回数は、歯の種類や感染の程度によって異なりますが、一般的には前歯で2~3回、奥歯で3~5回程度の通院が必要です。
治療の成功率を高めるためには、以下のポイントが重要です:
- 早期発見・早期治療:症状が軽いうちに治療を始めることで、治療期間を短縮できます
- 適切な設備と技術:マイクロスコープなどの最新設備を備えた歯科医院を選ぶことで、精密な治療が可能になります
- 治療計画の遵守:予約をキャンセルせず、歯科医師の指示に従うことが重要です
- 治療後のケア:適切な被せ物で保護し、定期的なメンテナンスを受けることで長期予後が向上します
根管治療は時間と根気が必要な治療ですが、その先には健康な歯と快適な生活が待っています。当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な根管治療を提供し、大切な歯を守るお手伝いをしています。
歯の痛みや違和感を感じたら、早めにご相談ください。適切な診断と治療で、多くの歯を救うことができます。
詳しい情報や治療についてのご質問は、小林歯科医院のホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。皆様の歯の健康をサポートするために、私たちはいつでもお待ちしております。
著者情報
小林歯科医院 院長 小林 健二
日本顕微鏡歯科学会 認定医

