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根管治療で失敗しない歯医者選び~5つの重要ポイント

根管治療とは?失敗すると何が起きるのか
皆さんは「根管治療」という言葉を聞いたことがありますか?
根管治療とは、むし歯が深く進行して歯の神経(歯髄)まで達してしまった場合や、歯を強く打った際に神経が死んでしまった場合に行う治療です。感染した神経を取り除き、根管(歯の根の中の管)を清掃・消毒し、最終的に薬剤で密閉する一連の処置を指します。
歯科治療の中でも特に難易度が高く、治療の成否が歯科医師の技術や設備に大きく左右される治療と言えるでしょう。
実は、日本における根管治療の成功率は決して高くありません。東京医科歯科大学の調査によると、保険診療での根管治療の成功率は約30~50%程度と言われています。つまり、半数以上の治療が何らかの形で失敗しているのです。
では、根管治療が失敗するとどうなるのでしょうか?
根管治療の失敗は、以下のような症状として現れます。
- 治療後も痛みや違和感が続く
- 歯根の先に膿がたまる
- 歯茎に白い腫れものができる
- 歯茎の腫れや痛みが繰り返し起こる
- 最悪の場合、抜歯が必要になる
現在私は日本顕微鏡歯科学会認定医として根管治療に力を入れています。臨床経験から言えることは、根管治療の成功には「適切な歯医者選び」が何よりも重要だということです。
根管治療で失敗しないための歯医者選び~5つの重要ポイント

根管治療で失敗しないためには、どのような歯医者を選べばよいのでしょうか?
ここからは、私の臨床経験と最新の歯科医療の知見をもとに、根管治療で失敗しない歯医者選びの5つの重要ポイントをご紹介します。これらのポイントを押さえることで、あなたの大切な歯を守るための最適な歯科医院選びができるはずです。
1. ラバーダム防湿を使用している
根管治療の成功において最も重要なのは、根管内を無菌状態に保つことです。そのために欠かせないのが「ラバーダム防湿」と呼ばれる器具の使用です。
ラバーダムとは、治療する歯を唾液や細菌から完全に隔離するためのゴム製のシートです。これを使用することで、治療中に唾液や細菌が根管内に入り込むことを防ぎ、無菌的な環境で治療を行うことができます。
唾液には多くの細菌が含まれているため、ラバーダムを使用せずに根管治療を行うと、せっかく消毒した根管内に再び細菌が侵入してしまいます。これが根管治療失敗の大きな原因となるのです。
ラバーダム防湿を使用していない歯科医院では、根管治療の成功率が大幅に下がると言われています。そのため、根管治療を受ける際は、必ずラバーダム防湿を使用している歯科医院を選びましょう。
どうですか?あなたが今まで受けた根管治療で、このゴム製のシートを使われた経験はありますか?
2. マイクロスコープを導入している
根管治療の難しさは、肉眼では見えない微細な空間で作業を行う点にあります。歯の根管は非常に細く、複雑に分岐していることも多いため、肉眼だけでは十分な治療が難しいのです。
そこで重要になるのが「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」の使用です。マイクロスコープを使用することで、肉眼の約20倍以上の精度で根管内部を観察しながら治療を行うことができます。
マイクロスコープの導入により、以下のようなメリットがあります:
- 見落としがちな副根管(分岐した細い根管)の発見
- 根管内の感染組織や破折した器具の確実な除去
- 根管充填(薬剤を詰める処置)の精度向上
- 歯の構造を最大限に保存した治療が可能
私自身、マイクロスコープを導入してからは根管治療の成功率が飛躍的に向上しました。肉眼では見えなかった複雑な根管形態も明確に視認できるようになり、より確実な治療が可能になったのです。
3. 歯科用CTを活用している

従来のレントゲン撮影は二次元の画像しか得られないため、複雑な根管の形態を完全に把握することは困難でした。しかし、歯科用CTを使用すれば、歯の三次元的な構造を詳細に把握することができます。
歯科用CTの活用により、以下のような利点があります:
- 根管の数や形態を事前に正確に把握できる
- 根の湾曲や分岐を三次元的に確認できる
- 根尖病変(根の先の炎症)の正確な診断が可能
- 治療計画の精度が向上する
特に複雑な根管形態を持つ歯(上顎の大臼歯など)の治療では、CTによる事前診断が成功率を大きく左右します。歯科用CTを導入している医院は、より精密な根管治療が可能と言えるでしょう。
根管治療を受ける際は、歯科用CTを活用した診断を行っている歯科医院を選ぶことをお勧めします。
4. 保険診療だけでなく自費診療も選択肢として提案してくれる
日本の保険診療における根管治療は、時間や使用できる材料に制限があるため、十分な治療ができないケースがあります。特に複雑な根管形態を持つ歯や再治療が必要な歯では、保険診療の範囲内では限界があることも少なくありません。
そのため、患者さんの状態に応じて、保険診療と自費診療の両方を選択肢として提案してくれる歯科医院を選ぶことが重要です。
自費診療の根管治療では、以下のようなメリットがあります:
- 十分な時間をかけた丁寧な治療が可能
- 最新の器具や材料を使用できる
- より高度な技術を用いた治療が可能(垂直加圧根管充填法など)
- 長期的な予後(治療後の経過)が良好
もちろん、すべての症例で自費診療が必要というわけではありません。重要なのは、患者さんの状態に応じて最適な治療法を提案してくれる歯科医院を選ぶことです。
5. 根管治療の実績や専門性が高い
根管治療は歯科治療の中でも特に技術と経験が求められる分野です。そのため、根管治療の実績や専門性が高い歯科医師を選ぶことが重要です。
根管治療の専門性が高い歯科医師の特徴として、以下のような点が挙げられます:
- 日本歯内療法学会や日本顕微鏡歯科学会などの専門学会の認定医・専門医資格を持っている
- 根管治療に関する継続的な研修や学会に参加している
- 難症例(再治療や複雑な根管形態など)の治療実績がある
- 他の歯科医院からの紹介患者を受け入れている
歯科医院のウェブサイトなどで、医師の専門性について確認することもお勧めします。特に再治療が必要な場合や複雑な症例では、根管治療の専門性が高い歯科医師を選ぶことが成功への近道となります。
私自身、歯科大卒業後、マイクロスコープを用いた精密治療を深く学んできました。日本顕微鏡歯科学会認定医として、難症例にも対応できる技術を磨き続けています。
根管治療の成功率を高める最新技術

根管治療の世界では、技術や材料の進化が日々進んでいます。ここでは、根管治療の成功率を高める最新技術について紹介します。
垂直加圧根管充填法
従来の根管充填法(側方加圧根管充填法)に比べて、より緊密に根管を密閉できる「垂直加圧根管充填法」が注目されています。この方法は、根管内部を三次元的に密閉することができ、再感染のリスクを大幅に低減できます。
垂直加圧根管充填法の成功率は90%以上と言われており、従来の方法に比べて格段に高い成功率を誇ります。ただし、この方法は保険診療では行えず、自費診療となるケースがほとんどです。
根管治療の成功にこだわるなら、垂直加圧根管充填法を採用している歯科医院を選ぶことも一つの選択肢です。
NiTiロータリーファイル
従来のステンレス製の手用ファイル(根管を清掃する器具)に比べて、ニッケルチタン合金(NiTi)製のロータリーファイルは柔軟性が高く、湾曲した根管でも効率的に清掃することができます。
NiTiロータリーファイルを使用することで、根管形成の精度が向上し、治療時間の短縮にもつながります。最新の根管治療では、このNiTiロータリーファイルが標準的に使用されるようになっています。
「木も見て森も見る」という私の治療理念のもと、一本の歯の根管治療に徹底的にこだわりつつ、口腔全体の健康維持にも目を向けた治療を心がけています。最新の技術や材料を積極的に取り入れることで、より確実な根管治療を提供できるよう日々研鑽を積んでいます。
根管治療の失敗症例と対処法
根管治療が失敗するケースには、いくつかのパターンがあります。ここでは、典型的な失敗症例とその対処法について解説します。
再感染による症状の再発

根管治療後、一時的に症状が改善したものの、数ヶ月~数年後に痛みや腫れが再発するケースがあります。これは、根管内に細菌が残存していたり、治療後に新たな細菌が侵入したりすることで起こります。
対処法としては、再根管治療(リトリートメント)が必要になります。この場合、前回の充填材を除去し、再度根管内を徹底的に清掃・消毒した上で、密閉し直す処置を行います。
再根管治療は初回の治療よりも難易度が高いため、マイクロスコープやCTを活用した精密な治療が可能な歯科医院を選ぶことが重要です。
見落とされた根管
歯の根管は複雑に分岐していることがあり、肉眼での治療では副根管(分岐した細い根管)を見落としてしまうことがあります。見落とされた根管内には細菌が残存し、やがて症状の原因となります。
私が経験した症例では、上顎第一大臼歯(奥から2番目の歯)で通常3本ある根管が4本あるケースがありました。前医では見落とされていた4本目の根管を、マイクロスコープを用いて発見・治療することで、長年の症状が改善したのです。
このような見落とされた根管の治療には、マイクロスコープの使用が不可欠です。根管治療の再発で悩んでいる方は、マイクロスコープを導入している歯科医院での再評価をお勧めします。
まとめ:根管治療で失敗しない歯医者選びの5つのポイント
根管治療の成功は、歯の長期的な保存に直結する重要な要素です。適切な歯医者選びが、治療の成否を大きく左右します。
本記事でご紹介した「根管治療で失敗しない歯医者選びの5つのポイント」をもう一度おさらいしましょう:
- ラバーダム防湿を使用している:根管内を無菌状態に保つために必須
- マイクロスコープを導入している:肉眼では見えない微細な部分まで確実に治療
- 歯科用CTを活用している:根管の三次元的な構造を正確に把握
- 保険診療だけでなく自費診療も選択肢として提案してくれる:症例に応じた最適な治療法を提案
- 根管治療の実績や専門性が高い:技術と経験が治療成功の鍵
これらのポイントを押さえた歯科医院を選ぶことで、根管治療の成功率を高め、大切な歯を長く保つことができるでしょう。
私たち歯科医師は「歯を抜かない・残す」治療を第一に考えています。根管治療は、歯を保存するための最後の砦とも言える重要な治療です。適切な歯医者選びで、確実な根管治療を受け、大切な歯を守りましょう。
根管治療でお悩みの方は、ぜひ上記のポイントを参考に、信頼できる歯科医院を探してみてください。
詳しい根管治療についてのご相談は、根管治療に力を入れている当院までお気軽にお問い合わせください。マイクロスコープを用いた精密な根管治療で、あなたの大切な歯を守るお手伝いをいたします。
著者情報
小林歯科医院 院長 小林 健二
日本顕微鏡歯科学会 認定医

